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愛車に仰向けになったまま携帯の電源を切り、目を閉じる。 頬を撫でる風と、潮の香りが心地よい。 ここで自分の旅は終わる。思えば短い人生だったが、一つだけいいことがあった。 ぎりぎりでしかも補習扱いとはいえ、鯱人の育成が完了したことだけは僥倖だった。 正直まだ心配なところはあるが、鯱人ならば浸父とも戦っていけるだろう。 心配といえばもう一つ…。 最強にして最悪と恐れられる虫憑き。自分にはない強さを持ち、今も一人で戦う虫憑き。 嘗ては彼の背中を守れるのは自分だけだったが、 これからは自分の教え子達が、彼と共に戦ってくれるだろう。 もう一度前線に戻りたいという願いは、ついに叶うことがなかったが。 死ぬ寸前まで悔いにまみれた自分は、彼の目にはどう映るのだろうか? 「…やはり、呆れられるのだろうなー……」 自分が死んだと知った彼は、どんな反応をするだろうか。 泣く?いや、そんなことはありえない。 せいぜい『このバカワンコが』などと墓石に向かって文句をつけるくらいだろう。 そういえば、死んだ虫憑きには墓などあるのだろうかと、どうでもいい事を考える。 そんなことをしているうちに、意識が薄れてゆく。 ――――ああ、でも願わくばもう一度… ゼロという不名誉な二つ名を持つ少女、ルイズが召喚したのは、 材質のわからないフードつきの黄色い服を羽織り、 鉄の馬と思しきものに仰向けになっている一人の少女だった。 年のころは自分より少し下くらいだろうか。 しかし服装といい、鉄でできた馬のようなものといい、 いかにハルケギニア広しといえども一目でそれとわかるほど、少女の印象は奇抜なもので。 そして、そのような印象などどうでもいいくらいに腹部から流れ出す大量の血液。 その顔色は蝋のように白くなっていたが、まだ、本当にかすかであるが―息があるようだった。 …自分が召喚した少女は傷つき、死にかけている。 あまりのことに、「人間を召喚」という異例の事態であることなど頭から消え去っていた。 普段の高慢さをかなぐり捨て、ルイズはただ己の使い魔を助けるために叫んだ。 「誰か水メイジを!!私の使い魔が死んじゃう!!」 複数の人間が慌てているような声。特環の人間だろうか……? 朦朧とする頭で声のした方に目を向けようとしても、何も見えない。 ああ、もう目も見えないのか… かろうじて拾えた言葉は英語のような綴りで、どれも要領を得ない。 意識が闇に落ちる寸前、彼女の頭によぎったのはただひとつの疑問であった。 …ここは、どこなのだ…?
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少年は空飛ぶ戦艦の上、ただじっと眼下を見下ろしていた。 浮遊大陸アルビオン、その開けた戦場でうごめく黒い影に、少年はただじっと視線を向けていた。 少年はその砕け散った世界から一人、召喚というプロセスを経て青年の手中に呼び出された。 青年は杖も使わず浮かぶ赤いおくるみを来た赤ん坊に、己に宿る伝説の力を実感していた。 赤ん坊の成長は早かった。 ほんの数日で十年以上の成長をとげ、驚くほどの速さで知識を吸収していく。 まるで“今まで溜まっていた分を吐き出す”かのように、赤ん坊は少年へと成長した。 青年、ロマリア皇国皇帝ヴィットーリオ・セレヴァレはその力をもって聖地奪還を夢に見た。 しかしその少年は、誰よりも強く誰よりも賢く、そして誰よりも高潔であった。 ジュリオ・チェザーレというふざけた偽名を与えられたその少年は、誰よりも平穏を愛していた。 それこそ本来皇国を挙げて敵対すべきエルフと交友関係を結ぶことをその視野に入れるほど。 そんな平穏を愛する少年は今、国境を越えてはるかアルビオンの大地に立っている。 一応の理由は“視察”だった。 浮遊大陸アルビオンの異常、それは大陸が速度を上げて移動していること。 トリステインの北西を浮かんでいたアルビオン大陸が各国の上を飛び始めたことだった。 「ジュリオ様、やはりアルビオン側面に何かの装置が取り付けられているもよう」 「あのゴーレムのような技術ですか?」 「そこまでは不明ですが、形状から考えてそうではないかと」 「(ううん、確かに彼らの技術力なら十分可能でしょうが、しかし何故?)」 大陸を移動させる理由がわからず、ジュリオは思案しながら近くの古木の表面をなぞる。 手袋に緑色の粉が大量に絡みつく。 「やはり、これはあのカビ……」 「ジュリオ様、これをご存知なのですか?」 「ええ。ですがこれはもう失われたはず……本当にこの騒ぎを引き起こしているのはガリア王なのですか?」 「そのはずです。我々の手のものからの情報でもそうとしか。ただ奇妙な情報もあります」 「奇妙?」 手の中の枯死したカビを払い落としながら、ジュリオは情報官に振り返る。 「被害者がほとんどいないのです。町そのものはカビに覆われゴーレムに破壊されていますが、人的被害は逃げ出してきた民衆の間のいざこざが原因のものばかりで」 「……人的被害を必要としない? なのに町を占拠して破壊活動を?」 「ええ。建物を残らず瓦礫に変えてカビで木々をなぎ払って、まるで更地を作るために動いているとしか」 「更地? この状況で戦争行為ではなく破壊発動? そんな必要が何故……」 ふと、少年の脳裏に浮かぶ情報。 神殿、伝説、悪魔の扉、聖地、聖域、そして召喚された自分。 「地図を! ハルケギニア全域の地図を! 各地の神殿と聖域の地図もお願いします! 竜騎士隊の皆さん、お手数ですが戦場の映像を上空から視察してください! 副長! 彼らに遠見の水晶を!」 慌てて机の上に置かれたものをなぎ払い、少年は受け取った地図を広げる。 聖域と神殿の位置を地図にマークしながら少年は叫ぶ。 「これじゃありません副長! かつての始祖ブリミルのころの聖域の地図です!」 遠見の鏡を操作していたメイジが、竜騎士からの情報を処理し始める。 古き地図を重ね合わせかつて聖域と呼ばれた場所同士を結んでいく。 東方の森付近で見つけた遺跡も同じく地図にマーキング。 それは驚くほどキレイに、五芒星を描いた。 「ジュリオ様! アルビオン戦場に巨大な魔法陣が!」 「位置は!? 現在のアルビオン、いえ、その魔法陣の位置は!?」 地図に移るアルビオン大陸の位置を表す光点が、五芒星の中心へ近づいていく。 「大陸を移動させている推進装置の破壊を!」 「無理です! 間に合いません!」 叫ぶように伝令を返す兵士たち。 かつての世界で“成長”を放棄することで“最強”を得た赤ん坊、世界が変わることでその制約から解き放たれた少年、かつて『あかちゃんまん』と呼ばれていた彼は、思わず天を仰いだ。 ゆっくりと、何かに押しのけられるように黒雲が晴れていく空を。 「誰か僕のマントを!」 右手のルーンを輝かせ、あかちゃんまんは竜のミルクの入ったビンをつかみ、そして叫んだ。 戦場の中心にあった城、正確には城の跡。 相次ぐ虚無のぶつかり合いで完全に崩壊した城の上空、二つの力がはじけて光る。 「ははははは! どうしたミス・ヴァリエール! 迷いが見えるぞ、その拳から!」 拳から放たれた虚無の衝撃を同じく槍から放った虚無の衝撃で相殺し、ガリア王ジョゼフは馬上に笑う。 「くっ!」 「どうした虚無の担い手よ! その姿はハッタリか? 先代が泣いているぞ!」 「黙りなさい!」 槍が虚無の幻を貫き、その後ろから打ち込まれた拳もまた、同じく虚無の幻を貫く。 「どちらにせよ私の勝利は変わらんよ! ここで勝とうが負けようが!」 「ハッタリを!」 「ハッタリ? もう少し回りに視線を向けるべきだったな!」 その声にルイズは視線を横に流す。 その視界におかしな光景が映った。 それは町並み、トリステインでもアルビオンでもない、発達した工業技術が作り出す鋼の町並み。 海が、見えない。 「……ゲルマニア!? そんな!」 「後ほんの十秒ほどなのだよ、ミス・ヴァリエール。後ほんの十秒ほどで、私と私のミューズの目的は達成される!」 大陸が五芒星の中心に迫る。 「今、この世界の全てが捻じ曲がる!」 聖域により描かれる五芒星の真ん中に、アルビオンはたどり着いた。 瞬間、世界が止まった。 輝き始めるルイズの胸、ちょうど心臓の上に刻まれたルーンが輝きを放つ。 「あ、ああ! 精神力が!」 「は、ははははは! なんという虚脱感!」 馬の上でジョゼフが脱力する。 「くああああ! 間に合わなかった!」 「ジュリオ様!」 風竜の上、ジュリオの、あかちゃんまんの右手のルーンが光を放つ。 「な、何だ、この吸い上げられるような感覚は!」 宮殿の中、ヴィットーリオの体から精神力が失われていく。 「ぬう、面妖な!」 「あう! 力が!」 左手のルーンが放つ熱にかつぶしまんはひざをつき、その横でティファニアが崩れ落ちる。 「あはははは! あはははははは! 始まる、始まるの! また楽しいゲームが!」 荒れ果てた鋼の建造物の中、赤いドレスの少女の額のルーンが輝く。 「ミス・ヴァリエール、見たまえ、今この世界は生まれ変わる」 「何を言ってっ!」 大陸そのものが光を放ち、中心に浮かぶアルビオンの魔法陣がそれをかき集め空に光点を浮かべる。 その光点が走り、ありえないほど巨大な魔法陣が描かれていく。 見覚えのあるそれは、ルイズが二年生の春の儀式でも用いたもの。 「召喚魔法!?」 「始まるぞ、待ちに待ったこの瞬間が! 我々ならば『四つの四が揃ったとき、「始祖の虚無」が復活する』、エルフたちなら『四つの悪魔が揃いしとき真の悪魔は目覚め、大災厄をもたらす』、まあ私はどちらでも構わんがね!」 「まさかあれが!」 「然り! あれこそが悪魔の門! 命の星は意志無きものに意志を与え、意思あるものに力を与える! メイジもエルフもくそくらえだ! はははははははは!」 世界が悲鳴を上げる中、四つの四から吸い上げられた力がゆっくりと、悪魔の門をノックする。 あらゆる命の中で等しく、世界にヒビが入る音が聞こえた。 ゆっくりと空から、否、“空のように見えていた世界を覆う鏡”から“それ”は現れた。 “それ”は大地、“それ”は世界、“それ”は命。 “世界そのもの”が、鏡を抜けてせり出してくる。 失われた世界、砕け散った世界、全ての可能性を繋ぐ、“真ん中の世界”。 「そんな、あれは、あれは」 あかちゃんまんは竜の背で呆然とそれを見る。 「あれは僕の世界!」 何よりも偉大な幻想が、世界を包み込んだ。 『Let s GO ! ZEROPANMAN!~そして世界は回り始める~』 鋼の古城の中、力を吸い上げられ倒れる赤いドレスの少女を、白いスーツに包まれた手が優しく受け止める。 その傍らには赤いスーツを着た男と黄色いスーツを着た男。 少女の無事を確かめホッと息をつく三人の前で、ひときわ大きなカプセルから培養液が抜かれていく。 開かれたカプセルの中、黒い亜人が一歩を踏み出した。 「結局こうなりましたね」 「まあいいんじゃねーの? 死に掛けてた俺らにゃどうしようもなかったんだし」 「そうだね。でもそれはそれとしてもだ、君はどうするんだい?」 白い服の亜人から少女を受け取りながら、黒い亜人はぞろりと並ぶ牙を除かせ、心底楽しそうに笑った。 「決まってるだろ? 世界はいつだって、オレ様のものだ」 その笑みに、三人もまた笑みを返す。 直後後ろで小さく足音。 冷凍睡眠カプセルの中にいた老人と女性が、帽子の位置を整えながら歩み寄ってくる。 「ならワシはもう一度、工場を作らんといかんのう」 「そうですね」 楽しそうに、本当に楽しそうに、六人は笑う。 「それじゃあ行きましょう、ジャムおじさん」 「そうじゃな。もう一度子供たちにパンを焼いてやらねばのう、バタ子や」 「はい!」 「アンアン!」 かくて世界はつながり、“真ん中の世界”と一つになったハルケギニアは革新のときを迎えた。 あらゆる世界につながるその“真ん中の世界”は、そこにある命そのものに力を与える。 それでも変わらず、どんなときでも、森の中の小さな建物からはおいしい香りが漂っている。 命を生み出す老人と、絶対に外さない魔球を投げる女性が、楽しそうに歌いながらパンを焼いている。 静かな静かな夜の空、命の星が降り注ぎ、黒と赤は青い髪の少女とその父親と共に楽しそうにいたずらを考える。 侍は相棒の魔剣を抱え、二つの月の下美女の酌を傾る。 かつて赤ん坊だった少年はホットミルクを飲んでベッドの中へ、王はそれを静かに見守る。 桃色の髪の少女は先代に会うか会うまいか頭を悩ませる。 そして繋がる世界の中、子供たちの夢が歩き出す。 幼いころに思い描いた幻想の世界が顕現し、ハルケギニアと混ざり合う。 神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。握った両の豪腕と、吐き出す業火を携えて、導きし我を守りきる。 神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。愛と勇気を胸に秘め、導きし我を運ぶは地海空。 神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知識と英知をもって、導きし我に助言を呈す。 神の心臓ヴァンダールヴ。悲しき定めの神の天秤。ただその均衡を保つため、笑って悪意を受け止める。 四人の僕を従えて、我はこの地へやってきた。 生み出す命に愛を込め、我はこの地に生を振りまく。 ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ジャムトリ
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「全宇宙の果てのどこかにいる、わたしの下僕よ!強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! わたしは心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」 結論から言おう。 かのヴァリエール嬢――ほかの平行世界においては、”虚無(ゼロ)のルイズ”と呼ばれ、比類無き武器の使い手”ガンダールヴ”をその護衛(兼奴隷兼愛人)として従えることになる少女の、召喚の儀に際してのその願いは、半分だけ叶えられた。 爆音とともに現われたその存在は、確かに強く、美しく、生命力に溢れ、おまけに賢こさと気高さまでも兼ね備えていたのだから。 ただし―――。 「あのぅ……ここはどこなのでしょうか?」 宝杖を携え、魔力に溢れた、どう見ても高位の術者にしか見えない”彼女”を使い魔とすることができるなら、の話ではあるが……。 『ゼロの癒し手』 トーティス村在住の新米主婦、ミント・アルベイン(旧姓:アドネード)さんは当惑していた。 苦しく困難で……けれど、同時に楽しくもあった戦いの旅が終わり、平和になった世界で、ようやく想い人との結婚にまで漕ぎ着けたのがおよそ半年前。 冒険行の途上で出会い、緩やかに想いを育んできた若い(じつは彼女の方がひとつ年上であり、夫に至ってはいまだ20歳にすらなっていない)ふたりだが、さすがにこれだけ経てば新婚とは言え多少は落ち着いてくる。 もっとも、夫の親友で、彼女たちの旅の仲間でもあった弓使いに言わせれば、いまだ”熱々のバカップル”らしいが。 その日、夫が森へ狩りに出かけている間に、彼女は新居(と言っても、元々夫の実家であった建物を改築したものだが)に残り、 季節の移り際であることもあってタンスの中の衣類の整理などをしているところだった。 「あら? これは……」 あまり多くない夫の衣類を整理し終わり、いざ自分の方にさしかかった彼女だったが、ふと懐かしい服を目にして思わず手にとって広げていた。 ”ホーリィクローク”と呼ばれるその白い衣装は、魔王を倒す旅の途中で入手し、長らく彼女の身を守ってくれたものだ。 旅の終盤にはさらに強力な防具を入手したが、清楚で美しいデザインのこの服を彼女は気に入っていたため、売らずにとっておいたのだ。 「懐かしいですね。久しぶりに着てみようかしら」 ちょっとした悪戯心もあって、ミントはホーリィクロークを着てみることにした。 せっかくなので、アンクベレットとホワイトグローブ、プリンセスケープにイヤリングまで装備し、ホーリィスタッフを手にしたフル装備仕様で、彼女は鏡の前に立った。 「うん、平気。スタイルは変わってないみたいね……ちょっと胸がキツいけど」 あまり肌が露出しない服装を好んで着ることもあって、比較的着痩せして見える彼女だが、じつは一緒に風呂に入った旅の仲間の女性陣ふたりが本気でうらやましがるほど見事なプロポーションの持ち主だ。 まぁ、そのうちひとりはまだローティーンなので、将来は彼女以上のナイスバディになる可能性も残されている。もうひとりは……推して知るべし、といったところか。 もっとも、法術師としての正装をしてたたずむ彼女は、確かに非常に美しかったが、その美は色気というよりはむしろ神聖な雰囲気を感じさせる。 また、実際その外見に違わず、彼女は極めて清楚で奥ゆかしい性格の持ち主でもあった。何せ旅の途上では、気難しい一角獣に騎乗することさえ許されたのだから……。 とは言え、現在は彼女も人妻、と言うより新妻。夫が狩りから帰ってきたときに、この格好で出迎えて驚かそうと思うくらいの、可愛らしい茶目っけは持っていた。 夫の驚く顔を思い浮かべてニコニコ―あくまでニヤニヤではないのが、この女性の気立ての良さを物語っている―していたミントだが、 それ故、背にした姿見の鏡が銀色に発光していることに、一瞬気づくのが遅れる。 「こ、この光は……!?」 おっとりした外見に似合わぬ俊敏な身ごなしで、光から逃れようとした彼女だが、一瞬の差でかわしきれず、光に包まれる。 「ミント、ただいま……何っ!?」 折悪しく……それとも間一髪で、と言うべきか、帰宅した夫のクレスが、部屋のドアを開けたところで、ミントは謎の光に包まれたまま鏡の中に吸い込まれていった。 「み、ミントーーーーーーーッ!!」 そのあとの事態は、賢明な読者の皆さんのご想像のとおりであろう。 ルイズの”使い魔”としてハルケギニアに召喚されて戸惑うミント。 もっとも、コントラクトサーヴァントに関しては、彼女が高度な術の使い手であることを見抜いたコルベール自身の進言によって一時棚上げされ、彼女の立場は”ルイズの使い魔候補”であり、同時に”学園の客分”とされる。 ミントもここが異世界であろうことを納得しつつ、故郷から夫たちの救いの手が届くであろうことを信じ、しばしその身分に甘んじることとなった。 さて、やむを得ない事情とはいえ、使い魔召喚を一時棚上げされた形となったルイズ。 ルイズの気性を知る者たちはさぞかし荒れるだろうと思っていたのだが……あにはからんや、意外なほど上機嫌でミントとの同居生活を楽しんでいた。 ひとつには、ミントほどの高位の術士―ミント自身はこの世界の魔法は使えないものの、回復や援護に特化した”法術”と呼ばれる術の使い手であり、 仲間にアーチェとい優れた魔術の行使者がいたことから、魔術に関する知識もそれなりにあった―を呼び出せたという点から、自分が決して能無しではなかったのだ、という自信。 そしてもうひとつは、召喚したミント自身の存在。彼女は、ルイズの次姉、”ちぃねぇさま”ことカトレアを彷彿とさせる、母性と慈愛にあふれた性格の女性であり、 不慮の事態に巻き込んでしまったルイズを責めることなく、それこそやさしい姉のようなスタンスで、ルイズと接してくれた。 最初こそそんな態度に軽い反発心を覚えたものの、学友達にバカにされ、孤立し、ささくれだっていたルイズの心が、自分のことを本心から案じてくれる姉的存在によって癒されていくのも無理のない話だった。 そうやって偏見を取り除いてミントを見れば、清楚な美人で羨ましいほどスタイルもよく、淑やかで上品な振る舞いをごく自然にできる極上の淑女であることが理解できた。 加えて、ミントは故郷の地の都で”歌姫”と呼ばれるほどの美声と歌唱力の持ち主であり、グルメマスターの資格を持つ料理上手。派手ではないが、インテリアや服装のセンスも悪くない。平民であることを除けば、ルイズにとって理想とも言ってよいレディだった。 しかも――彼女は強かった。 本来後衛であり、決して前線に立つのが得意とは言えないミントだが、高位の法術師にのみ与えられる”カーディナル(枢機卿)”の称号を得て久しく、最高位である”ポープ”の称号すら目前にしているレベルの術者なのだ。 野生のクマくらいなら術を使うまでもなく、手にした杖で叩いて瞬殺することくらい平気でやって見せる歴戦の猛者だ。 皆さんご承知のギーシュとの決闘イベントも発生したが、ピコハン→アシッドレイン→杖による連撃のコンボで1体目のワルキューレを瞬殺。 それを見て女性に対する遠慮と侮りを捨てたギーシュだったが、残るワルキューレも、ピコピコハンマー→シャープネス→杖でフルボッコとやはり壊滅。慌てたところにサイレンスで魔法を封じられ、あえなく敗北となった。 (余談ながら、言葉を封じられていたため「降参」のひと言が言えず、ミントに笑顔で殴り倒されたことを付け加えておく。ただし、ボロボロになったのち、やはりミントのキュアの呪文で瞬時に癒され、彼女の熱心な信奉者となった) 戦闘はそれほど得意ではないと言っていたミントのその実力を見て、ますます彼女に傾倒し、依存していくルイズ。 恐る恐る法術を教えてほしいと願い出て、それを許されてからはミントを師と仰ぐようにもなった。ご承知のとおり”虚無”の特質を秘めたルイズだが、 通常の魔法を阻害するその特質も法術との相性はよかったのか、それとも優れた教師のおかげか、熱心な学習意欲の賜物か、あるいはそれらすべての要因からか、わずか一週間で”ファーストエイド”の術をマスターしていた。 この世界でも水のメイジなら同様の事が可能であろう初歩的な癒しの法術とはいえ、これまで”ゼロ”と―時には身内からすら―罵られ続けてきたルイズにとって、それは奇跡とも呼べる偉業だった。 「ミント先生、わたし、一生ついていきます!」 感激したルイズがミントに抱きついたのも無理のない話だろう。 いまやルイズにとって、ミントは大恩人にして人生の師と言ってもよかった。 実は学園内においても、ミントは非常に人気が高い。 平民でありながら、ドットとは言え相応の実力者のギーシュを、瞬時にして下す先住魔法の使い手(法術については、一般にそう理解されていた)。 それでいて気さくで礼儀正しく、思慮深い性格の美人。ごく一部の嫉妬深い同性を除き、大半の学園の人間―貴族、平民を問わず―に認められるようになるまで、さして時間はかからなかった。 もちろん、彼女のもっとも熱心なファン(と言うより愛弟子)の第1号はルイズだったが、意外なことに2号は学園付きのメイド、シエスタだった。 ルイズのために特製料理を作ってあげようとしたミントが、厨房への案内を頼んだのが縁で親しくなり、こちらはミントに様々な料理を教わるようになったのだ。 おにぎりや茶碗蒸し、にくじゃがといった、祖父に名前だけは聞いていた料理を、苦もなく作り上げる(しかも、その出来栄えも極上だった!)ミントの料理の腕前に感嘆し、シエスタもまたミントを師匠と仰ぐようになっていた。 そのことによって、ルイズとシエスタの接点も増え、紆余曲折はあったものの、いつしかふたりは身分を越えた友人とも呼べる関係になっていった。 ミント自身も、ふたりの妹分の出現には喜んでいた。 元来ひとりっ子であったし、元の世界で旅していたころの仲間の女性ふたりも、確かに年下ではあったが、むしろ対等な戦友であり、あまり妹という感じではなかったから。 元の世界へ帰れるのかという懸念を除けば、学園での生活もけっして悪くはない。 しかし、ルイズがさらにふたつの術を覚え、シエスタがミントにレシピ皆伝と認められたころ、かの事件――アンリエッタ王女の来訪と、それに連なる秘密のアルビオン行が発生する。 詳しい経緯ははしょるが、おおよそ原作と同じ展開――ギーシュとワルドの同行、盗賊襲撃とキュルケとタバサの加勢、宿屋での戦い、王子との邂逅など――が起こったが、ここでひとつワルドは思惑を外される。 ルイズが彼の求婚をキッパリ断わったのだ。 一人前の法術師となるべく現在修業中のルイズとしては、いま結婚して家庭に入るつもりはサラサラなかったし、ミントの薫陶を受けて一人前のレディとして成長しつつある彼女にとって、ワルドがどこか薄っぺらで胡散臭く見えたことも一因だった。 仕方なく、ウェールズ王子もろともルイズを抹殺としようと企むワルド。 当然、彼女たちを守るべく、立ちはだかるミント。 高位の術者同士の息詰まる戦いが繰り広げられる。 レベル的にはミントのほうが高いのだが、遍在を使って攻め手を増やせるワルドの方が優位に立っていた。 トライアングルのウェールズの加勢や、ルイズの覚えたてのチャージ(魔力補給)によるふたりへの援護(彼女の魔力量だけは、成長したミントにさえ比肩していた)があっても、決定力に欠けるミントたちは、徐々に劣勢に追いやられていた。 ついにテラスにまで追い詰められる3人。 ところが……。 「大丈夫かい、ミント!!」 時空を切り裂く剣の力を借りて、時空剣士ことクレスが、天馬に乗って登場。 愛の力で愛妻の居場所をつきとめた(本当はいったん過去に戻ってクラースに相談した)、魔王さえ滅ぼせる正真正銘の勇者の出現で、戦局は一気にひっくり返る。 片手を切られ、ほうほうの体でワルドが逃走したのは原作どおりだが、ミント&クレスの説得によって、ウェールズ王子はトリステインへの亡命を承諾する。 そして……。 「グスッ、せんせぇ~、どうしてもお別れなんですか?」 「ごめんなさい、ルイズ。でも、私達は本来、この世界にいるべき存在じゃないから……私にも故郷と言える場所があるから……」 と、ふたりの師弟が涙ながらに別れを惜しんでいるところに、剣士から爆弾発言が。 「うーん、でもミント。別に今生の別れってわけでもないと思うよ。この時空の”場所”は覚えたから、その気になれば来れるし……」 さすが、別世界の闘技場やら学校やらに出現していた、世界観ブッちぎりの時空剣士様。俺たちにできないことを平然とやってのける!…別にシビレたり憧れたりはしないけど。 師の夫の発言を聞いて俯き、しばし考え込むルイズ。 顔を上げると、そのままふたりについて行きたいと告げる。 「ハルケギニアへ帰って来れる方法があるのなら、先生の元でしばらく修行に励みたいと思うんです」 その言葉に驚くミントだが、ルイズの決意は堅く、また自分も彼女をもう少し育てて上げたいという想いがあったため、ついには1年間の期限をつけて同行を承知した。 さて、そこから先のことも簡単に述べておこう。 ルイズは恐れ多くもウェールズ王子に、アンリエッタ王女と学園への手紙を託し、このハルケギニアの地からいったん姿を消す。 そして……1年後に再びこの地に戻って来たときには、見違えるように成長していた。 師匠直伝の様々な法術を操り、師の友人から譲られた宝石の助けを借りてカメレオンと召喚契約を結び、別の師の友人から狩人としての基礎を仕込まれたことにより、いまやトライアングルクラスのメイジとも互角以上に戦えるであろう。 しかも、かつての癇の強い性格はすっかり影を潜め、あのミントや次姉のカトレアを思わせるおっとりとやさしい雰囲気を漂わせた大人っぽい淑女へと変貌していた。 おそらくは、貴族たれというプレッシャーのない異郷で、やさしい憧れの師匠と、素朴で男らしい彼女の夫によって、まるで妹のように愛されて健やかに育ったことがよかったのだろう。 同時に彼女たちの持つ技術を懸命に学ぼうと努めた結果、ルイズ本来が持つやさしさや魅力、才能が開花し、同時にそれが彼女の心にいい意味での余裕をもたらしたのかもしれない。 さらに、ある意味こちらのほうが特筆物かもしれないが……食べ物その他の環境のおかげか、わずか一年あまりでルイズの胸がいくらか育っていた。 さすがに師匠のように”ボインちやん”と呼ばれるほどではないが、大草原の小さな胸とバカにされ、ブラ要らずと陰口をたたかれたあのA-のペタンコ胸は、もはや存在しない! 全国の貧乳ファンよ、泣いて悔しがれ。ブラのサイズにして、およそB! ちょっと控えめではあるが十分女らしい曲線が誇らしげにルイズの着ている法衣の胸元を持ち上げているのだ。 (胸のことだけでも、アセリアに渡ってよかった……) ルイズはしみじみそう思ったとか。 その後、実家の援助を受けつつルイズはおもに法術を教える私塾を開く。 私塾の門戸は貴族のみならず平民にも開かれ、彼女自身の人柄と実力もあって、数多の弟子を輩出し、大いに栄えた。 のちにルイズは、”偉大なる癒し手”と呼ばれ、ハルケギニアの歴史に名前を刻むこととなるのだった。 -とりあえずfin-
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「宇宙のっ!!」 ドッカーーン!!! 毎度お馴染み、春の使い魔召還の儀。テンプレ通り、ルイズは爆発を起こし続けていた。 「ルイズ、プゲラ。」 周囲の生徒達もまともな台詞で馬鹿にするのも飽きたのかぞんざいな事を言う。 だが、ルイズは決して諦めない。 なぜならファーストキスから始まる二人の恋のヒストリーが来る事を体内に刻まれた虚無の力が教えているからだ。 これが長編や恋愛重視の短編ならいいのだが、如何せんここは滑稽無糖なギャグ短編。 ルイズの期待は最悪な形で裏切られるのである。 ドッカーーン!!! 爆発と共に凄まじい存在感が周囲に発生する。 思わず杖を構えてしまったタバサは首を傾げる。 感じたのは存在感である。威圧感ではなく、殺気でもなく、ただの存在感。 (存在感にしては、大きすぎる気もするけど) 爆煙はいまだに残っており、何が召還されたかわからないがルイズ自身も魔法成功を実感したのか、監督役の教師であるコルベール(コイツも杖を構えていた)と笑顔で頷きあっている。 「あらあら、どうやら成功したみたいね。がっかりだわ。」 そう言ったのは隣にいるキュルケ。発言の内容に対して笑顔である。 「心配だったの?」 「な、何言っているのよタバサ!私がルイズの心配なんてする訳無いじゃない!」 顔を真っ赤にして言うキュルケに対してタバサはいつもの無表情で告げる。 「分かり易いツンデレ、乙。」 「あんたって偶に口を開くとほんと、きついわよね。…と、煙が晴れて来たわね。」 キュルケの言うように煙がはれて来て、ルイズが召還した存在が判明しようとしていた。 ルイズは高鳴る胸を押さえながらどんなものが現れてもいいように身構える。 そして、召還されたそれは、朗らかに、清々しく、右手を上げて、挨拶をした。 「Fix(フィックス)!!」 「いっやーーーーーーっ!!!!!!!!!」 召還されたそれを見て、ルイズはあらん限りに叫び、気絶した。 後にタバサはこうコメントする。 全身全霊の悲鳴と言うものがこれほど響くとは知らなかったと。 リファインな使い魔 ルイズが目を覚ましすのに掛かった時間はさほど長くなかった。 視界内にいたコルベールに安堵しながら言う。 「すみません、ミスタ・コルベール。私ったら、自分の爆発に巻き込まれて気絶しちゃうなんて、すぐにでも試験を再開しますわね。」 朗らかに言うルイズに対して、コルベールは心底同情しながら事実を告げる。 「あー、ミス・ヴァリエール。残念ですが…」 コルベールが視線で指した方向には、“アレ”がいた。 「…夢で無いでやんの。」 心の底から吐き出した台詞にいたたましくなりながらも、コルベールは最後通告を述べた。 「あー、ミス・ヴァリエール。コントラクト・サーヴァントを…」 「嫌です。」 ルイズは速攻で拒否した。0.1秒にも満たないのでは無かろうか。 「いや、気持ちは本当によくわかるが…」 「嫌だと言ったら嫌なんです!!」 そして、ついに直視したくもない“アレ”を指さして叫んだ。 「だって、どう見ても変人…。いいえ、変質者じゃ無いですか!?」 そう、ルイズが召還した存在はどう控えめに表現しても変質者だった。 裸に変な形をした ――よりにもよって股関の部分が大きく箱型で膨らんでいる―― パンツらしきものを履き、頭は角が二本付いていてフルフェイスで表情が伺えない兜を被っている。 全身全霊で“自分は変態です!!”と叫んでいるようにしか見えない。 ちなみに、洗濯物を取り込もうとしていた黒髪のメイドが 「ガ、ガンダムたわ。しかもRX-78-2。伝説のファーストガンダム…。」 とおののきながら呟いたのだが、彼女が平民である事、それ以上に何を言っているかわからない事もあって無視された。 召還された対象を無視して契約する、しないを言い争うルイズとコルベール。 「しかし、ミス・ヴァリエール。既にか……彼?は召還されてしまったのです。また、新たに召還しようとするならば…」 暗に召還対象を殺すしか無いと仄めかす。 如何に貴族にとって平民は家畜と同然に思われているとは言え、目の前で(変態だが)人が殺されかねない事実にルイズは息を呑む。 更に小声でルイズに告げる。 「また失敗を繰り返しますか?しかも……彼?と似た存在を召還する可能性もあるのですよ。」 これって、ある種の脅迫じゃないかしら?とも思いながらルイズは本当に、心底嫌そうな顔をしながら頷く。 「わかりました。理解はしました。納得は出来ませんが。」 そこに今まで周囲…特に召還された動物や幻獣を珍しそうに見ていた“アレ”がコルベールに話し掛ける。 「つかぬ事をお伺いしますが、ここはどこでしょうか?」 思いの他紳士的な態度に少なからず驚きながらコルベールは言う。 「ここはトリステイン魔法学園ですよ、…ミスタ?」 「あ、カトキです。カトキ氏とお呼び下さい。それで…トリステイン?どこの大陸で、どんな国の、なんと言う都市にある学園なんですか?」 その言葉にコルベールは更に感心する。目の前にいる“カトキ”なる存在は確かに変質者だが愚かでは無い、むしろ聡明と言っていいだろう。変質者だが。 「ハルケギニア大陸にある神聖トリステイン王国のトリステイン魔法学園ですよ。」 コルベールの言葉に体を少し前に動かしてカトキ氏は再び尋ねた。 「ハルケギニアのトリステイン?ラクロアでもなく、ナの国でもなく?」 「はい、そうですよ。」 聞いた事も無い国の名前にコルベールは目の前にいる存在(名前で認識するのにはまだ抵抗感がある)はやはり東方の変質者なのだなと思った。 それに対しカトキ氏は頭を抱えながら呟く。 「なんと言う事だ。スダドアカは勿論、バイストンウェルですら無いとは…。」 二人が話している間に自分自身に『納得』と言うマインドセットを終えたルイズがカトキ氏に対し、胸を張って言う。 「あ、あんた感謝しなさいよ。貴族がこんなことをしてあげる事なんて無いんだからね。だから…その気味の悪い仮面外しなさいよ。」 「仮面?私はそんなものは付けていないぞ。あらゆる意味で三倍早い赤い人じゃあるまいし。」 真顔(と言えるのか甚だ疑問だが)で言うカトキ氏に対し、生理的嫌悪感から少し後ずさりして言う。 「な、何言っているのよ。その白い兜よ。早く取りなさいよ。」 「いや、これが私の顔なのだが…。」 困った様子で言うカトキ氏に対しルイズは首を傾げる。 そこに二人の話を聞いていたコルベールが割って入る。 「あの、ミスタ・カトキ…」 「カトキ氏だ。」 確固たる信念を込めた台詞に息が詰まる思いをしてから訂正する。 「失礼、カトキ氏。申し訳無いが、上を向いてもらえませんか?」 「うむ、わかった。」 さっきは大きく否定をしたくせにあっさり頷くカトキ氏。心が大きいのか小さいのかわからない。 そして上を向いて見せるカトキ氏。 「か、仮面と首が一体化している…。」 喉から絞り出されたようなコルベールの声に周囲の視線が集まる。 「じゃ、何?カトキ、あんた人間の変態じゃなくて、亜人の変態だったの!?」 「カトキ氏と呼べと言っただろう!このナ(女)ロー!」 ルイズの叫びに顔を真っ赤にして怒るカトキ氏。 またメイドが「キャスバル専用になったわ…。」とおののいているがやっぱり無視される。 顔の色を本当に変えて怒るカトキ氏に気色悪さを感じ、一歩後退りしてから言う。 「わ、わかったわ。カトキ氏。座って目を閉じてくれないかしら?」 「わかった。これで良いのか?」 確かにルイズの前で座るのだが… 「目、本当に閉じているの?」 そう、カトキ氏は目を閉じているように見えなかった。 「うむ。女性の願いを断る程私は狭量ではないからな。」 「さっき私の事をナロー呼ばわりしたくせに…。」 カトキ氏に聞こえないように小声で呟いてから気を取り直して呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ。」 言ってカトキ氏の顔を掴み、口らしき部分に口付けをする。 (嗚呼。私、汚れちゃったわ…) と心の中で涙を流してからカトキ氏を見る。 「いきなりキスとは随分積極的なのだね、お嬢さんは。私が魅力的なのは自他共に認める所だが…。」 「その自信、どこから出るのかしら?」 「彼は亜人。美的感覚が私達と異なっていても不思議じゃない。」 後ろでこそこそ話しているタバサとキュルケに心の中で同意していると… 「ガルスジェイ!」 カトキ氏が左手を抑えながら意味の分からない悲鳴をあげる。 「心配しないで、使い魔のルーンが刻まれているだけよ。」 「だけ、と言われてもねぇ…。」 顔を青くして(BDー2)恨みがましそうに呻く。 すると、カトキ氏の左手が光り、奇妙な文字が現れる。 「ふむ、『サモン・サーヴァント』は何度も失敗したが『コントラクト・サーヴァント』は成功したようだね。」 「今回ほど魔法が失敗して欲しいと思った事はありませんけど…。」 ルイズの心の底から出した言葉を完璧にスルーしてコルベールは生徒達に解散を命じる。 それぞれの生徒が使い魔を伴って部屋に戻って行く。 使い魔を抱いて『浮遊』の魔法で飛ぶ者、使い魔自身に乗る者などそれぞれである。 残っているのはルイズとカトキ氏。 「さすがファンタジー世界。人が平然と空を飛ぶ。」 感心した様子のカトキ氏に全く消えない不信感を持ちながら、言う。 「色々説明しなきゃいけ無い気がするから……(本当は嫌だけど)ついて来て。カトキ…氏。」 「うむ、了解した。」 ハルケギニアの一般常識(ルイズの主観が多分に含まれている)を真摯に感心しながら聞くカトキ氏。 「…と言う事よ。分かった?カトキ氏。」 「うむ、なかなか興味深い世界観だ。アニメ化の際は私がメカニックデザインをしてやらん事も無い。」 「全く意味わかんないし。」 心底うんざりしながら言うルイズ。 だが、問題はハルケギニアの説明などと言う簡単なものでは無かった。 (もしかして、いいえ。もしかしなくても私これからコイツと同じ部屋で就寝を共にしなくちゃならない訳?) 亜人とは言え貞操の問題がある、以前に精神的に嫌すぎる。 それを察したのかどうかは分からないが、カトキ氏が夜食用のパンなどを載せたトレイを持って立ち上がる。 「どうしたの?カトキ氏。」 かなり期待を込めて尋ねるルイズに対し、すませて返す。 「使い魔と言う立場は理解出来るが、出会って間もない年頃の女性と一つ屋根の下と言うのはまずかろう。テントでも構わないから用意してくれないかね?私はそこで就寝をするから。」 「そうね!その通りね!カ、カトキ氏がそこまで言うなら私が準備してあげるわよ!」 喜び勇んでカトキ氏を追い出す…もとい、案内するべくベッドから飛び降りるルイズ。 結局、カトキ氏は打ち捨てられていたボロテントで構わないと言った。 ルイズは最初こそ不思議な顔をしたが、カトキ氏とこれ以上関わりたく無い為、放置しておく事にした。 だからルイズは聞かなかった。ボロテントを前にしたカトキ氏の『さて、リファインするか』と言う呟きを…。 チュンチュン 小鳥たちのさえずりでルイズは目を覚ます。 カーテンの隙間から陽光が漏れている。 今日は良い天気のようだ。まるで昨日の出来事が悪い夢に感じられる。 カッシャー 勢いよくカーテンを開ける。陽光を浴びて体の底から目を覚まそう。 そこには、寝そべったカトキ氏がいた。 「Fix!!」 出会った時と同じく朗らかに挨拶をしてくる。 ルイズは腰を抜かしながら絶叫をあげた。 ズドン! 勢いよくルイズの部屋のドアが開く。中に入って来たのは隣の部屋にいるキュルケだ。 「朝っぱらから何騒いでいるのよ、ヴァリエール!少しは周りの迷惑を考えなさい!」 怒り心頭と言った様子のキュルケが見たのは涙目で床に腰つけながら窓をさすルイズであった。 「キュ、キュルケ~。」 「ど、どうしたのよルイズ。そんな(保護欲そそりそうな可愛い)格好して…。」 言いながらキュルケは気づいた。窓の奥からカトキ氏が見える事に。 「Fix!」 キュルケに対しても礼儀正しく挨拶するカトキ氏に呆然としながら部屋に入って行く。 「お、おはよう、カトキ氏。…窓の外にあなたの使い魔が見えるんだけど…。」 「そ、外を見ればわかるわ…。」 半ベソかきながら言うルイズを可愛いと思いながら窓からカトキ氏がいる外を見てみる…。 「な、何よ。何なのよ。これは…。」 キュルケの視界に入ったのは巨大な白い何かだった。 ここにあのメイドがいれば『デ…、GP‐03デンドロビウム。実際にお目にかかれる日が来るなんて…』とおののくだろうがいないので二人としてはワケのわからないものとしか認識のしようがなかった。 ちなみに中にいるカトキ氏の頭部も普段のRX‐78ガンダムからGP‐03スティメンに変わっているのだが二人に見分けがつくはずもなく、違和感をもちながらもスルーしている。 キュルケは少しびびりながら尋ねる。 「ねぇ、カトキ氏?その建物は…何かしら?」 「GM所だ。」 カトキ氏がきっぱりと言った言葉に首を傾けてからもう一度尋ねる。 「事務所?」 「違う!GM所だっ!」 意味が分からなかった。 ルイズが小声でキュルケに言う。 「気にしにしたら負けよ。気をしっかりもってただ相槌を打つのよ。」 ルイズの言葉の内容に矛盾を感じながらも頷いてからカトキ氏に言う。 「す…素晴らしい事…GM所ですわね。」 「うむ、メガビーム砲にIフィールド付きは絶対に外せん。」 理解出来ない台詞なのは相変わらずだが、とりあえず相槌を打ってから本題を告げる。 「朝の食事の時間まで間もないから行きましょう、二人とも。」 「わ、わかったわ。」 「理解した。」 言って3人は共に食堂に向かう事になるのだが…。 「ルイズ、あなた。本当にとんでもないのを召還したわね。」 「ぜんっぜん嬉しく無いわよ。」 食堂に着いた三人はそれぞれ席に座る。 と言うかキュルケは先に来ていたタバサの右隣、ルイズはキュルケの右隣、カトキ氏はルイズの右隣、カトキ氏の右隣と前には誰も座ろうとしない。 カトキ氏は本来メイジである貴族しか座ってはならない席にどうどうと座っているのだが誰も注意しない。みんなカトキ氏が怖いから。 メイド達が朝食を次々と配っていく。ルイズ達がいるテーブルの一角を担当するのはあのメイド。どうやらメイド達にとってもカトキ氏は恐怖の対象なのだろう。 「はい、ガンダム頭のお方。」 「カトキと言う。カトキ氏と呼びたまえ。しかしガンダムがわかるのかね。今度暇な時にでもお話をしたいのだが、よろしいかな。」 「構いませんよ、カトキ氏。私はシエスタと言います。」 会話が成立してやがる いや、カトキ氏と会話をするのは難しい……外見さえ気にしなければ(それが最難関)……ものでは無い。 カトキ氏が偶に発する理解不能な専門用語。 これが更にカトキ氏との隔絶感を出すのだ。 キュルケが感心した様子で小声でシエスタに話かける。 「あなた、シエスタって言ったっけ。よくカトキ氏に話が出来るわね。」 「はい。故郷の伝承に外見がカトキ氏の頭そっくりなのがあるんです。だから懐かしくて。」 シエスタの言葉に納得すると同時に意外とカトキ氏の故郷とトリステインは近いのでは無いのかと思うルイズ。 行ってみたいとは1ミクロンも思わないが。 だが、問題はそんな事では無かった。 パンを取るとカトキ氏の顔がまた変わったのだ。 「ク、クロスボーン!こんなマニアックなものまで…。」 シエスタが感激しながら言う言葉にある意味納得する。 確かにカトキ氏の額に骸骨と交差した骨、まさしくクロスボーンが描かれている。 いや、それすらも本質的な問題では無かった。 カトキ氏の、口の部分が、上下に、割れたのだ。 クオオオ 食べ物をフォークで刺し、中に入れていく。 「うええ…。」 誰かが口に手を当てて呻く。 別にテーブルマナーが悪い訳では無い。 むしろかなり礼儀正しく食べている。 しかし、気色が悪い事この上ない。 「どえしたのかい?ルイズ君、朝食をしっかり食べないと1日が保たないぞ。」 本気で心配しているカトキ氏に突っ込む気力もなく、ルイズとキュルケは出されたものの大半を残す羽目になった。 ちなみに、中休みに我慢出来ず食堂に行くと料理長のマルトーが同情しながらサンドイッチをくれた。 その後も授業でルイズが失敗して大爆発を起こしたがカトキ氏が巻き起こす事件に比べれば些細な失敗談でしか無かった。 次の事件は夕食時に起こった。 ギーシュと言うルイズと同学年の少年が同級生と下級生の女生徒二人に対し二股をかけている事が判明してしまったのだ。 その間接的原因がシエスタにあった。 あくまで間接的であって、悪いのは二股をしていたギーシュである。 だがギーシュはシエスタが貴族には逆らえない平民である事をいい事に責任をなすりつけているのだ。 これに義憤を持ったのがカトキ氏。結果、貴族と亜人(?)な使い魔による決闘が行われる事になった。 「ふっ、よく逃げずに来たな!使い魔君!…しかし、何だい?その痛んだ馬車は?」 そう、決闘の場にカトキ氏はおんぼろの馬車(馬抜き)を持って来たのだ。 ちなみに引っ張るのにルイズ達が有無を言わさず手伝わされた。 「直ぐにわかる。」 自信たっぷりに言うカトキ氏にから薄ら寒いものを感じながらもギーシュは続ける。 「僕はメイジだ。魔法で戦わせて貰うよ、構わないね。」 「うむ。私も私の技術を使うつもりなのだから何ら問題ない。」 カトキ氏の台詞は無視する事にしてギーシュは杖である薔薇を振るう。 すると一枚、花びらが落ち、それが大人ほどの大きさがある金属製の人形になった。 自信満々と言った表情でギーシュが言う。 「そう言えば自己紹介がまだたったね。僕は『青銅』のギーシュ。君の相手はこのワルキューレがお相手しよう。」 「ふむ、なかなかのデザインセンス。今度私がリファインしてやらん事もない。」 「意味は分からないが断固として拒否させてもらう。」 一瞬で返したギーシュに少し恨めしそうな顔するカトキ氏だが、気を取り直して言う。 「今度は私の番かね。私はカトキ・ハジメ。カトキ氏と呼びたまえ。」 言って背中を見せるカトキ氏。正確には馬車と向き合っている。 「な、何をするつもりなんだい?敵に背中を見せるなんて、決闘を馬鹿にして…」 「リファイ~~ン!」 カトキ氏は自らの魂と引き換えに機体(?)をリファインするのだ! 馬車が形を変えていく。そして、出来上がったのは…。 「鳥もどき?」 ルイズが言ったように鳥のような形になっていた。 しかし、それにしてはあまりにも翼が短い。 空が飛べるとは全く思えない。 背中に大砲らしきものを二門背負っているが、ハルケギニアの技術力では有り得ない為、何か全く分からなかった。 それはぶっちゃけGファイターだった。 カトキ氏は自信満々に鳥もどきに手を置いてギーシュに対して言う。 「私はこのG家用車でお相手しよう。」 「自家用車?」 ギーシュが思わず聞き返す。 ルイズとキュルケが同時に『余計な事を』と言った顔をする。 「違う!G家用車だ!」 「G家用車ですね!」 感激した様子でシエスタが叫ぶ。 「そう!G家用車だ。シエスタ君、やはり話がわかるねぇ。Fix!」 「Fix!嗚呼、身も心は勿論、母国語さえもガンダムに捧げているなんて…私には、とても真似できないわ。」 されても困る。 周囲の貴族の共通の想いだった。 ちなみに、決闘の結果は考えるまでもなくカトキ氏の勝利だった。 いくら人間サイズにスケールダウンしているとは言え、ビーム砲とミサイルを積んだカトキG家用車に青銅製のワルキューレがかなう筈が無かった。 「ははははははは。」 ギーシュは両膝を地面について放心しながら笑っている。周囲の視線は2つ。 ギーシュに対する同情と異世界の生物(正解)を見るかのようにカトキ氏を見るもの。 そんな中、キュルケがどこか感激した様子で呟く。 「情熱だわ…。」 何事かとルイズとタバサが視線を向ける。 「情熱なのよ!私の中の炎が燃え盛っているわ!素敵よ、カトキ氏!」 二人の目がその台詞にぎょっとした。 「キュルケ、本気?いいえ、正気?」 あんまりと言えばあんまりなルイズの質問にキュルケはしっかり頷く。 「ええ、そうよ!情熱だわ!構わないわよね、ルイズ。」 本来なら宿敵関係にあるヴァリエール家がツェルプストー家に何かを渡す、奪われる事などあってはならない事なのだが…。 (カトキ氏なら見せた瞬間に許可されそうな気がするわ…。) そう思いながら返す。 「あ、アンタがいいなら別に良いけど…。」 「なら、早速気を引く方法を考えないと!夜が楽しみだわ!」 スキップしながらその場を去っていくキュルケを見ながらタバサが呟く。 「人間は、どうにもならない存在と出会うと思考から除外するか、取り入ろうとするらしい。キュルケの場合は後者だったみたい。」 言葉に納得しながら尋ねる。 「でもいいの?キュルケは、友達なんでしょ?」 「巻き込まれるのは勘弁。」 「…本当に友達なの?アンタ達。」 ルイズのごもっとも極まりない質問にタバサは沈黙で返すのであった。 その日の夜。 ひとっ風呂浴びた(止められなかった 入ろうとしたらその場にいた全員が一目散に逃げ出した)カトキ氏は満足気にG務所へ戻ろうとしたら、見知ったサラマンダーが震えながらすり寄って来た。 「ふむ、君は確かキュルケ君の使い魔であるフレイム。私に何か用かな?」 カトキ氏の言葉に頷いてカトキ氏の足元を引っ張るフレイム。 「付いて来て欲しいのか。ハハハ実にせっかちだなぁ、君は。」 カトキ氏の台詞から来る恐怖に全身を振るわせるもしがない使い魔、主人の命令に逆らえる筈もなくカトキ氏を連れて行くのであった。 部屋にカトキ氏が入ると自然とドアが閉まる。魔法の力なのだろう。 「こちらに来て頂けませんか?カトキ氏」 言ったキュルケはベビードール姿と分かり易い程欲情的な姿をしている。 カトキ氏もその姿に当てられたのか思わず息を飲む。 「アナタは私の事をはしたない女だと思うでしょうね。」 「いいや、君の想いはフレイム君越しからも十分届いたさ。」 カトキ氏の真剣な台詞にキュルケは感激した様子で手を合わせる。 「嬉しい!これほど情熱に焦がれた事はいままでなかったのよ!」 「そうかい。今すぐにでも君を生まれ変わらせてあげよう。」 いってカトキ氏はキュルケの隣に座る。 キュルケは顔をほんのり赤く染め、目を瞑り呟く。 「優しく、してくださいね。」 「安心したまえ、テクニックには人並みならぬ自信がある。」 言ってカトキ氏は両手を上げる。そして… 「リファイ~~~~ン!!!!」 カトキ氏の言葉の後に聞こえて来たキュルケの人間のものとは思えぬ歓喜の叫びにルイズは思わず枕を頭に被り、音を遮断する。 これほどまで自分が魔法を使えない事に嫌悪感を持ったのは久しぶりである。 「キュルケ、ごめんなさい。使い魔を御しきれない私を許して。で、でもあなただって悪いのよ。カトキ氏を気に入ったりするから…。」 ルイズは悪く無いと自分に言い聞かせながらベッドの中で震えるのであった。 翌日。 キュルケは変わっていた。 具体的にどこが?と言われると困るのだが、確実に変化は起こっていた。 あえて言うなら…輪郭、だろうか。 ルイズは感激した面でウンウン頷くカトキ氏に尋ねた。 「ねぇ、キュルケはどうなったの?」 「彼女は生まれ変わった。もう今までのキュルケでは無い!言うならば…」 自分でも何でだろうかと思いながらもルイズは聞き返す。 「言うなれば?」 カトキ氏の目がカッ!と光る。 「キュルケVer.Ka!!!」 自信たっぷりに言うカトキ氏と生まれ変わったキュルケ…カトキ氏の言葉を借りるならキュルケVer.Kaだったか…を見ながらルイズは決心する。 なんとしても使い魔との解約と帰郷の手段を見つけ出す事を。 少なくとも、自分の精神が砕け散る前にっ!! リファインな使い魔、完 おまけ ガリア王ジョセフは自らの使い魔を見て失った筈の感情の震えを感じていた。 全く嬉しくもなんともなかったが。 「私、そんなジョセフ王の外道っぷりに惚れ込んでいるのです。例えホモと呼ばれたって構わない!」 「コイツ、打ち首。」 ジョセフの命令に娘のイザベラが疲れた様子で言う。 「父上、これで三度目ですよ。何事もなかったかのようにまたコイツが召還されますよ。」 ギリィッ! 思い切り歯を噛み締める音が聞こえる。 イザベラはそんな父を哀れに思いながらも、乾いた目で召還されたキクチンなる亜人が見るのであった。 教皇ジュリオは自らが召還した使い魔に頭を抱えていた。 別に能力に不満がある訳ではない。むしろ、使える。しかし… 「さぁ、我が配下の動物達よ、各国の情報を集めるのジャ!」 「有能だから我慢。有能だから我慢。有能だから我慢!」 黒光りする艶やかな肉体を誇る亜人、カワグチ氏を茫然と見ながら副官は思った。 宗教指導者って大変だなぁ、絶対になりたくないけど、と。 ティファニアは上機嫌であった。 孤児院と言って良いこの村に大人の男の人手が出来たのだ。 何しろ保護者である姉は生活費を稼ぐ為に外に出ており、年長者は自分しかいないのだから。しかも自分と同じ亜人だから差別するような事はしない。 笑顔でキノコが満載された大きなカゴを持つ自分の使い魔-タカギ-に話し掛ける。 「でも、本当にすみません。勝手に呼び出したのに生活の手伝いは勿論、使い魔にまでなってもらって…」 「ゲヘゲヘ。構いませんよ、テファちゃん。私に出来る事なら何なりとご命令を。それに…」 タカギさんは心の中で嫌らしい笑みを浮かべながら呟く。 (こんな爆乳美少女エルフの姉ちゃんと疑似新婚関係。大金詰まれたって辞めるものかよ!) 後にあるエルフの青年はこう語る。 「四の四揃う時、世界は滅びる。うん、そうだね。確かに、そうだね。」 と。 ハルケギニア崩壊の日は意外と近いのかも知れない。 リファインな使い魔。おまけ、完
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「全ての創作物には創作者がいる。逆に言えば創作物には必ず創作者がいるのだから野良創作物はいないということになる。 つまり全ての創作物は創作者の創作の中でしか動けない。というのが普通の考えになるわけ」 ここは海沿いの創発の館(仮)。の図書室内部。 梯子を用いないととても手に届かない高さにまで置かれた本たちがこの世界での地震の少なさを教えてくれている。 同じスペースでも高さがこうも変わると本の量も相当数変わるであろう。地震プレート爆発しろ。 地震プレートと本の量はさておきサムライポニーテール少女、無限桃花は眼鏡を掛けた桃花と会話をしていた。 あのおしゃべり桃花(先日怪我したが次の日に完治。医務室には化物がいる模様)が行かなそうな場所を選んだはずだが まさかそんなところにこんな図書館の主がいるとは思わなかった。そういえば前に言った図書館にも紫な主がいたような気がする。 「創作者が右向けと言えば右を。左向けと言えば左を。私達創作物はそんな存在なのよ。でも実際のところは そんな束縛は感じない。むしろ自由なほど。そこがわからないのよね。あくまでも設定された中でしか動けないのは 確かだけど設定すら守れば自由に動ける。いや、でももしかしたら私達の行動全てが創作者の掌の上なのかしら」 眼鏡の桃花はひたすら話し続ける。相手が聞いてもいなくても関係ないようだ。相手がいることが大事なのだろう。 とは言うもののなんとなく興味のある桃花はちゃんと話を聞いていた。 「しかしそんなこと考えても詮無いことじゃないか。創作者の意思なんて創作物はわからないだろう?」 「そうね。私達はわからないわ。最も第一次創作者というのかしら。あのハルトシュラーに聞いても どうせ素っ気無い答えしか返って来ませんし第二次創作者、私達に直接手を加えた創作者には会えない……。 と言うよりも会う能力を持っていない、というべきね」 「ん? あるのか? 創作者に会う能力」 「あるわよ。確か……」 本棚の一点を指す。すると本が自分から本棚から出て、眼鏡桃花の手元に飛んで来た。 「それが君の能力か。便利そうだね」 「魔法を使う能力。まぁ便利ね。強いし……」 本にめり込むように見てはページを捲っている。眼鏡を掛けているのに見えないのだろうか。度はちゃんとあっているのか心配になる。 ちなみに眼鏡を掛けていると目が悪くなるという。ちょっと遠くのものが見えないなと思い始めたら眼鏡屋で度を変えてもらおう。 度が合っていないとさらに視力悪くなるという悪循環に陥ってしまう。 「あった。ハルケギニアという世界に生まれた桃花が創作者を召喚してるわね。ハルケギニア自体は既に違う創作者が創った世界 みたいだから二次創作とかなのかしら。他にも数件報告されているわね。かなりレアな能力ね」 「すごいなその本……。全員載っているのか」 人が殴り殺せそうなほど分厚い桃色に染まった本を閉じる。すごいかもしれないがほしくはない。全く。 「いや、確認されているだけしか載ってないわ。能力上確認不能なんてのもいるみたいだしそもそも感知出来なければそれまでね」 「別世界まで感知しといて感知不能って一体……。で、何人乗っているんだ?」 「……3943人ね」 「えっ」 「どうかしたの? 別に無限にいるはずなんだから驚くことでもないでしょ。むしろ少ないくらいだわ。 ある程度まではアンテナさんが感知してくれるみたいだけどどうしても遠い世界になると感知タイプの桃花しか出来ないわね。 もっと力の強い感知タイプの桃花がいればいけそうなんだけど……。やってこないかしら」 既に桃花の理解を超えた話だがどうやら話しているというより独り言に近いようだ。本を開いて、ページを捲りながら呟く。 桃花はその様子を見て、ため息をつき周りを見渡す。図書館には表立って見えるものだけでも相当数のしかもかなりカラフルな本がある。 本来本の表紙というのはそんな奇抜な色にしないような気がするが眼の前に桃色の本がある以上はどうともいえない。 「ああ、そういえば枠を超えた桃花たちがいたわね」 本を捲る動きを止めて眼鏡桃花が言う。 「枠?」 「そう。創作物の枠。というよりも設定を乗り越えたって感じかしらね。例えば18歳でなかったりポニーテールじゃなかったり女じゃなかったり 刀を持っていなかったり。今言ったやつはハルトシュラーが大前提として創った設定だから本来は破れないはずなの。例え第二次創作者が そこを変えたとしても必ずそこに戻る」 「髪型ぐらい変えられるだろう」 桃花はそういうと髪留めを外した。まとめられた黒い髪が背中に降り注ぐ。 当然のことながら風呂に入るなどの髪留めを外さなければいけないときはちゃんと外してはいるがこのように特に意味もなく外すことは決してない。 なぜならば設定されているからだ。『無限桃花ポニーテールである』と。 しばらくは涼しい顔をしていた桃花だったが次第に顔が赤くなって来て体を揺らしはじめた。艶かしい吐息をしながら髪を触っては離すを繰り返してる。 眼鏡の桃花はそれを紅茶を飲みながら見ている。特に驚く様子もない。既に試したことがあるのだろう。 「んっ……!」 驚くほど早いスピードで髪を束ねると瞬時に髪を留めた。結んだものの顔はまだ赤く短く早い呼吸をしている。 「はぁ……はぁ……なんだ、この気持ちは」 「体が火照って来るんでしょ? なにかしらね。外すと欲情でもするのかしら。そんな気分にならないけど」 そのものずばりを言う。それを聞いて桃花はまた顔を赤くする。 「私が、欲情など、そんな、ハレンチな」 「とりあえず息を整えなさい。つまりどうあがいても設定を乗り越えられない。屋上行ったことない? あの桃花は髪を切ってまで 設定を乗り越えられるか試したのよ。どうあがいても今の私達には不可能だわ。でもね、越えることは出来るのよ。 男の無限桃花は生憎知らないけどショートカットだったり刀を持ってなかったり年上だったりする桃花は確かに存在するわ。 でもね、どうやってそうなったかはわからないの。本人たちさえもわからないみたいだしね。もしもその方法がわかれば。 私達はそれこそ自由になれるのよ」 「ふぅ。しかし自由になってどうするんだ? ここいれば安全なのよ」 「ここにしかいれない。同じ設定上しか歩めない。自由でいて束縛された身。安全の代償には大きすぎるわ。 それに私は……」 眼鏡の桃花は視線を落とし、消え入りそうな声で言う。 「創作者の気分次第で抹消されるような儚い存在なんていやだ……」 創作者にとって創作物は簡単に作ることも消すことも出来る。 ただそれは創作物にとってどんな出来事なのだろうか。 どっとはらい。 無限桃花の愉快な冒険11 無限桃花の愉快な冒険13 無限桃花の愉快な冒険まとめに戻る
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■ 悪魔城ハルキュラシリーズ(製作・キシンP) ■登場人物 ●ベルモンド一族とその関係者 ユキター・ベルモンド マミア・ラーネッド P イオリ・D・ベルモンド アミント・ダナスティ ミキ・ヴェルナンデス ヤヨカード / 夜代角やよい 剣魔のリョウ / リョウ・リカード アイ・モリス 天海春香 双海亜美 水瀬伊織 星井美希 ミキ・ベルモンド イオリ・エルランジェ ●ハルキュラとその復活に関わる者達 ハルキュラ チハデス リャフト アズバス コトリート・バートリー プリンセス・タケダ エリ・オーリン ヒビハム ■ 悪魔城ハルキュラシリーズ(製作・キシンP) 悪魔城ドラキュラシリーズを題材とした架空戦記。 ベルモンド一族とハルキュラの世代を超えた戦いを描く。 S H IDOLM@STER ■登場人物 作品をまたいで登場する人物が多いため、登場作も併せて書く VKのみ876組がメインで、その以外は765組がメイン。月下のリョウは特別。 ●ベルモンド一族とその関係者 ユキター・ベルモンド 登場作:XX、月下 なんというか餓狼歩(がろぽ)。 マミア・ラーネッド 登場作:XX、月下 P 登場作:XX、悪魔城、月下、白夜 イオリ・D・ベルモンド 登場作:悪魔城 アミント・ダナスティ 登場作:悪魔城 ミキ・ヴェルナンデス 登場作:悪魔城 ヤヨカード / 夜代角やよい 登場作:悪魔城、月下、暁月、蒼月 剣魔のリョウ / リョウ・リカード 登場作:月下、VK アイ・モリス 登場作:VK 天海春香 登場作:暁月、蒼月 +ネタバレ 1999年に完全に消滅したハルキュラが転生した姿 双海亜美 登場作:暁月 水瀬伊織 登場作:暁月、蒼月 ハルキュラを完全に消滅させた立役者。 +ネタバレ イオリ・D・ベルモンドが転生した姿 星井美希 登場作:暁月、蒼月 +ネタバレ ミキ・ヴェルナンデスが転生した姿 ミキ・ベルモンド 登場作:白夜 イオリ・エルランジェ 登場作:白夜 ●ハルキュラとその復活に関わる者達 ハルキュラ 登場作:(一応)全作品 チハデス 登場作:全作品 ハルキュラの側近中の側近。ヤヨカードに対する愛情はストーカーのそれに近い。正にド変態…いや、中の人の素が出ているだけとも… リャフト 登場作:月下 アズバス 登場作:月下 コトリート・バートリー 登場作:VK プリンセス・タケダ 登場作:VK エリ・オーリン 登場作:VK ヒビハム 登場作:暁月 名前 コメント
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かわいい 萌 ちょっと、そこの馬鹿犬 ちゃんと書かないとはいい度胸ね ルイズw CV釘宮 ライトノベル【ゼロの使い魔】のメインヒロイン。桃色がかったブロンドの長髪と鳶色の瞳を持つ、ヴァリエール家の三女で16歳。身長153サント、スリーサイズはB76/W53/H75と小柄で細身の為、スタイルの良い同性に対してコンプレックスがある。また、細身なのにも関わらず腕っ節が強い。 トリステイン屈指の名門貴族であるヴァリエール公爵家(始祖は王の庶子)に生まれ、トリステイン魔法学院に進学する。学院の進級時、使い魔召喚の儀式で地球人の才人を召喚してしまい、彼を使い魔とする羽目になった。「ゼロのルイズ」の蔑称は、幼少の時から魔法に失敗し続けたため、魔法の才能が皆無であるとされたことから付けられた。だが魔法が使えなかったのは、四系統のメイジとは異なる系統の使い手だったせいであり、幾つかの事件によって「水のルビー」と「始祖の祈祷書」を手にしたことから、「虚無」の魔法に目覚める。彼女の虚無は、ロマリアの教皇ヴィットーリオによると“攻撃”を司るもので、第17巻時点で使える魔法は「爆発(エクスプロージョン)」「解呪(ディスペル)」「幻影(イリュージョン)」「瞬間移動(テレポーテーション)」。強力な破壊力と威力を持つ一方、初歩の魔法でさえすぐに精神力が尽きるほど消耗が激しい。虚無に目覚めた後は、簡単なコモンマジックは使えるようになっている。 可愛らしい外見とは裏腹に、気位とプライドは非常に高い上、短気で癇癪持ちで気難し屋という厄介極まりない性格。また泣き虫という子供っぽい一面も見せる。出来の良い姉たちの存在や、魔法を使えないなどの理由から両親から全く期待されていなかったと思い込み、強いコンプレックスを抱いていた。そのため、他人に認められたいと思うあまり、物語開始当初は無茶をすることが多かった。第6巻では家族の反対を押し切ってアルビオン討伐の遠征軍に参加してもいる。しかし、その後は無茶をするのも貴族としてのプライドよりも仲間のためを理由にするようになりつつあり、第10巻ではアンリエッタに貴族の身分を返上し、ガリア王国へタバサを救出に向かった。第11巻でのトリステイン帰国後、タバサを救出したことにより、アンリエッタの義理の姉妹となり第2の王位継承権を得ている。 最初は才人のこともただの使い魔としか見ていなかったが、共に戦い続けて行く中で少しずつ惹かれていき、彼のことを1人の異性として強く意識するようになっていく。ただし独占欲と嫉妬心が強いため、才人が自分を馬鹿にしたり、他の女性と仲良くしたりするとキツイ罰を与えることから、才人には「こんな女と結婚したら大変だ」と思われている。現在では才人に依存している面が目立ち、才人に「自分がいなくなったら死んでしまうのではないか」と思われてしまうほどである[1]。第13・14巻で、才人が母親からのメールに涙を流しているのを見て「才人のために何かしてあげたことがあっただろうか」という思いに駆られ、「アクイレイアの聖女」になることの対価に、ヴィットーリオに世界扉を開かせて才人を地球に帰すことを決意したが、結局才人は帰郷しなかった。第16巻で屋敷の地下室で密会した才人とアンリエッタを偶然目撃し、自分が消えればみんな幸せになれると思い、家出した。第17巻後半で才人と合流し、元素の兄弟の次男を雑魚扱いするほどになった。。 好きな食べ物はクックベリーパイ[2]。趣味は編み物だが、かなり下手。特技は乗馬。嫌いなものはカエル。アンリエッタの幼少時の遊び相手で、彼女が女王となった今でも友人として想われている。しかし、ルイズはアンリエッタがいつも自分の人形を借りてはすぐに飽きるのを根に持っていたことが第17巻で明かされている。才人に「姫様は飽き性だからすぐに捨てられる」と言って、アンリエッタと喧嘩になった。キュルケとは顔を付き合わせれば憎まれ口を叩きあうが、陰湿な要素は無く、悪友とも言える関係である。 作者のあとがきによれば、『ダルタニャン物語』にも登場する実在の人物、ルイーズ・ド・ラヴァリエールをモデルにしており、片足が不自由という身体的ハンディキャップを負いながらも誇りを持って己の生き方を貫く、その姿勢を見習っている。 ――――引用 wikipedia ゼロの使い魔の登場人物 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールより ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ルイズルイズルイズぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!ルイズ・フランソワーズたんの桃色ブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! 小説11巻のルイズたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! アニメ2期決まって良かったねルイズたん!あぁあああああ!かわいい!ルイズたん!かわいい!あっああぁああ! コミック2巻も発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら… ル イ ズ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ハルケギニアぁああああ!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のルイズちゃんが僕を見てる? 表紙絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!ルイズちゃんが僕を見てるぞ!挿絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!! アニメのルイズちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはルイズちゃんがいる!!やったよケティ!!ひとりでできるもん!!! あ、コミックのルイズちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっああんあアン様ぁあ!!セ、セイバー!!シャナぁああああああ!!!ヴィルヘルミナぁあああ!! ううっうぅうう!!俺の想いよルイズへ届け!!ハルケギニアのルイズへ届け!
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流星! そして私は振り返る トリステイン、ゲルマニアの連合軍と、アルビオンの戦争が終わって一ヶ月。 ハルケギニアには平和が戻っていた。 ガリアやロマリアで多少不穏な動きがあるらしいが、特に面倒は起きていない。 平和を取り戻した人々は、それぞれの故郷で戦争の疲れを癒している。 ――ガリア。 ジョゼフ王は戦争の準備を進めながら、サモン・サーヴァントを試みる。 しかし何度やっても召喚のゲートは現れず、彼は二度と使い魔を持つ事無く生涯を閉じ、無能王という汚名を返上できぬまま終わった。 ――ロマリア。 教皇、聖エイジス三十二世も同様に、虚無の使い魔をその生涯で召喚する事は無かった。 彼はヴィンダールヴの行方を探したが見つからずに終わる。 ――アルビオン。 敗戦国ではあるがあまり酷い扱いは受けていない。 むしろ戦災による被害の復興のため、トリステインと積極的に協力しているらしい。 ――トリステイン。 女王アンリエッタは私財を売り払い、その資金すべてを国民のために使った。 戦勝した事もあり、アンリエッタは国民から絶大な支持を受ける。 ――タルブの村。 復興は順調。焼かれた家も建て直し、ぶどう畑から作るワインは絶品。 シエスタの家族もみんな元気。 ――トリスタニア。 魅惑の妖精亭の新メニュー『ヨシェナヴェ』が大人気! 一般層もターゲットにできると判断して、店長のスカロンはもう一件お店を立てた。 でもなぜか魅惑の精霊亭と名づけられたそのお店は美少年ばかりで、女性のお客さんばっかり来るようになったとかどうとか。 ――時の狭間。 ディアボロは……二度と地球にもハルケギニアにも戻れなかった。 永劫の暗黒の淵で発狂した彼の額に刻まれたミョズニトニルンのルーンは、ガリア王が死亡すると同時に消え去ってしまう。未来永劫さ迷い続ける事に。 ――杜王町。 海に面したベッドタウン。とても住みやすくて環境に恵まれている。 行方不明者の数が特別多い、などという奇妙な統計などあるはずもない。 1990年、一人暮らしをしていた吉良吉影は交通事故で死亡。 轢き逃げだったらしく、犯人は捕まっていない。 また、スピードワゴン財団は杜王町から弓と矢を二本回収する。出所は極秘事項。 東方仗助と広瀬康一は、特に事件に巻き込まれる事無く1999年の夏を平和にすごした。 ――イタリア。 ギャング組織パッショーネは内紛を起こし、リゾットという男がボスの座につく。 初代ボスの再来とも思える手腕で勢力圏を広げるも、弓と矢の追跡者ジャン=ピエール=ポルナレフと『ジョジョ』により麻薬ルートを潰される。 噂によると『ジョジョ』はスタンド能力をふたつ持ち、うち一方は動物の操作だとか。 2001年、ジョルノ・ジョバァーナという少年がパッショーネに入団。 その後、彼等の抗争がどうなったのか――? それはこの物語では語られない。 ――ラドクリアン湖。 とある夜、ラドクリアンの水辺に一人の少女が訪れた。 少女は持っていた指輪を水につけて精霊を呼んでみると、突然指輪は水の中に引きずり込まれて見えなくなった。 水の精霊は結局現れず、理由は直接約束をしたガンダールヴがいないからかじゃないかと、少女の持っていた剣は言った。 ――トリステイン魔法学院。 この学院に関しては何から記せばよいか……。 まず、キュルケがコルベールに乗り換えた。 コルベールはツェルプストーおよびゲルマニアの力を借りて新しい艦を造っていた。 これなら仮にガリアと戦争になっても優位に進められるだろうが、コルベールは平和のための研究もがんばっている。 最近、紙タバコのツェルプストー・サラマンダーがようやく発売された。 売り上げは徐々に伸びていて、コルベールとツェルプストー家の収入はかなりいい。 ギーシュは戦争でもらった勲章を自慢しまくってたけど、何の相談もなく従軍したギーシュの身勝手さをモンモランシーは怒り、これまた仲直りするのにずいぶんと時間がかかったらしい。 ちなみに手柄を立てたギーシュは女生徒からの人気がうなぎのぼりで、ますますモンモランシーの怒りに拍車をかけまくったそうだ。 シエスタは今まで通りメイドをやっている、ただあまり元気が無い。 ギーシュやキュルケ達が気にかけているけれど、時間以外に解決策は無さそう。 タバサはというと、読書とはしばみ茶作りに没頭している。 けれどガリアの動向を気にかけているようで、ガリアに関連する事件や噂を集めて色々と物思いにふけっている事が多い。 タバサとガリアの関係を知る唯一の親友キュルケは、そんなタバサを元気づけようと魅惑の精霊亭に連れて行き、スカロン製のはしばみ料理につき合ったりしてやるのだった。 その後トラブルもあったが、ゲルマニアが軍事力を飛躍的に伸ばして戦争の抑止力となり、おかげでタバサの不安が解消しキュルケとコルベールに感謝するのはまだ先の話。 ルイズは、相変わらず勤勉ではあるが、魔法は失敗してばかりだ。 おかげで相変わらずゼロと馬鹿にされてはいるが、ルイズは決して相手にしなかった。 虚無の事を知らない者の前で虚無の魔法を使う訳にはいかないから、学院で他者から認められるという事はほとんど無い。 それでもいいとルイズは思う。 近しい友人は認めてくれているし、それに誰に認められずとも、あいつは認めてくれている。 そして自分はそれを誇りに胸を張って生きていける。 双月と星々のよく見えるある晩、ルイズはサモン・サーヴァントの授業で使った庭に行くと、そこにデルフリンガーを突き立ててから、杖を取り出した。 「どうする気だね?」 「別に。ただ、どうなるのかなって、試してみたいだけ」 そう言うとルイズは、サモン・サーヴァントの詠唱を始めた。 歌うように軽やかに、恋人に愛の調べをささやくように。 たった一人の姿を胸に秘め、爽やかな風が吹く空の下、唱えた。 「あっ、流れ星。何だかいい事がありそう」 「そうかい。まあ、これもいい事だったのかもしれんね」 デルフリンガーはそう呟きながら、天を仰ぎ背伸びをするルイズの笑顔を見つめていた。 ルイズの前には、召喚のゲートは現れなかった。 それはつまり――そういう事だから。 それでいいとルイズは思う。 ――サウスゴータ。 アルビオンにあるサウスゴータ地方の一角に、孤児達と暮らす少女がいた。 少女は、家に仕送りをしてくれている姉同然の女性が久々に遊びに来てすごく喜んでいた。 少女は『自分を怖がらない同じ年頃の男の子』と友達になったと報告し、女性を驚かせる。 どんな人物か確かめたいと女性は言ったが、少女の友達は今はいないらしい。 『彼』が『誰』で『どこ』から来たのか……それは女性を十二分に驚かせるのだった。 ――流れ星の下。 サモン・サーヴァントの結果がどうなるか、多分私は解っていた。 だから、あまりにも想像通りだったので、つい笑ってしまう。 デルフはそんな私を見て呆れてたみたいだけど、気にならなかった。 生きてる。 生きてるんだ、承太郎は。 それだけで何だか胸がいっぱいになって、幸せな気持ちが満ち溢れる。 手を伸ばせば掴めてしまえそうに思えるほど綺麗な星空で、私は双月を抱くように両手をうんと伸ばして広げる。 また、星が流れないかな? 頬を撫でる夜風が気持ちよくて、アルビオンの風を思い出す。 機会があれば、また行ってみたい。今度は任務も戦争も無しで。 見上げていると、また流れ星。 私の頭上から、後ろへと流れたかと思ったら、後ろで草を踏む足音。誰だろう? そして私は振り返る。 第二部 スターダストは砕けない ミ☆ THE END ☆彡
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Republic of Guinea 自作 ラテン語で「銀」という名前の国はアルゼンチンですが、 漢字で「銀名」と表記される、首都をコナクリに置く国はどこでしょう? (2010年12月11日 Twitterで適当にクイズを出したのよ ) タグ:地理 Quizwiki 索引 あ~こ
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前ページ次ページ虚無と愉快な仲間達 爆音が響き渡り、大気を震わす。 原因は皆さんご存じ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールである。 彼女は土煙を凝視し、召喚が成功していることを祈っていた。 (……お願いします始祖様。留年は死んでも嫌なんです) 土煙は徐々に薄くなり、その向こう側が次第に明らかになる。 「やったわ!土煙の迎うに何かの影が三つ!!…………三つ?」 しかもそれらは人の形をしているようだ。 そしてついに姿が明らかとなった。 「この駄犬がッ!!貴様のせいで我の服が汚れてしまったではないか!どうしてくれる!」 「うるせぇ!!俺一人に妙な物を触らせようとするから道連れにしてやっただけだ!」 「落ち着け二人とも。どうやらあの鏡は空間転移のための入り口だったようだな」 言い争う金ピカの男と青い男。そして無駄に冷静な胡散臭い男。 何とも珍妙な三人組である。 「あ…あんた達いったい何者?」 ルイズは胡散臭い男に尋ねた。 「そうだな……神父と愉快な仲間達、とでも言おうか」 すかさず金ピカが不服そうな顔で割り込む。 「否。我様と可笑しな下僕達だ」 「誰が下僕だ!!それに一番可笑しいのはてめぇだろうが!!」 ルイズの思考回路は空前絶後の大混乱となっていた。 (ななななんなのこいつら????トリオ漫才?大道芸人?) いつもならルイズを馬鹿にしている生徒達も唖然としている。いや、むしろドン引いている。 そして、やっとのことで言葉を紡ぎだすコルベール。 「ミ、ミス・ヴァリエール。一応召喚は成功したようなので、事情を説明して彼らの誰か一人と契約を交わしてください。」 一通りの事情説明と互いの自己紹介を終えたところで、言峰が口を開いた。 「問題は誰がミス・ヴァリエールの使い魔となるかだが、私はランサーが適役だと思うが」 「我も同感だ。尻尾を振るのは得意であろう?」 「勝手に決めるなよ。ここは嬢ちゃんの意見を聞こうぜ」 三人の視線がルイズに集まる。 「わ、私は……」 ギルガメッシュは論外だろう。言峰は一見まともだが、なんだか悪役っぽいオーラがでている。となると消去法で、一番ましなのはランサーということになる。 「私もそれでいいわ」 「決まりでいいな?ランサー」 「しょうがなぇな。まっ、これでエセ神父に従わなくて済むようになるわけだ。清々するぜ」 こうして、ルイズはランサーとの契約に成功した。 しかし、神父と愉快な仲間達の出現によってハルケギニアに暗雲が立ちこみ始めたような気がしてならない。 召喚編 完 花札補正の三人組は好きだから、多分続く。 前ページ次ページ虚無と愉快な仲間達